本書を翻訳した理由

 日本における環境問題はビジネスの世界では地球にやさしいエコ製品、CO2削
減、使用エネルギーの転換、産業廃棄物、排出権取引などといった切り口から論
じられる。生活面ではロハス、健康に良い食べ物、フェアトレードを実行した企
業の製品などの論点がある。両者は有機的に結びついているようで、なかなか一
緒に論じられることが少ない。しかも、「地球にやさしい」という表現に代表さ
れるように、きわめて情緒的、感情的である。

 しかし、最早そんなアプローチでは地球の傷を治すことはできない。日本の伝
統的マスコミがなかなか報道しない、地球規模の大々的な運動と組織の実態を知
る、絶好の一書となる。また、日本人にとっては関心の向きにくい、世界史から
見た土着民族や社会公正の問題にも光を当てているため、大いに啓発される。

 学者が机上の論理を書いたのではなく、過去15年間に1,000回に及ぶ環境問題
スピーチをこなし、カリスマ的人気があり、かつ、自身も活動家として実践して
いるポール・ホーケンが自分の言葉で語る本書は強烈なインパクトと説得力を持っ
ている。

米国アマゾン
http://www.amazon.com/Blessed-Unrest-Largest-Movement-Coming/dp/0670038520
の読者レビューを読んでも、その感動は伝わってくる。

人類が初めて出会った地球の状態と、それに対して動き始めた「名もなき人々」
のムーブメント。
これら新しい世界史を記述するのに従来の言語と文法では役に立たない。
本書はホーケンが熱い現場体験と秀逸な言語能力を駆使し、新しい世界を描きき
った22世紀まで残したい名著だ。