男塾新章特集③『映像化で際だつ企画を!』

「男塾新章特集」の①と②では、企画の発想に欠かせない「アウトプット」や「経験」について書いた。まぁ、いうならば、発想の前段階ってところだね。前段階だけど、ものすごく大切なことだから、多くの言葉を費やして解説してみたというわけ。でもって、今日はいよいよ、「発想」そのものに迫ってみたいと思う。オレは若いころからこれが好きでね。まぁ、楽しいというか、ワクワクするというか、とにかくやめられないって感じだね。

よく、「アイデアを出すのが苦手」という人がいるけど、きっと自分の中に発想を邪魔するいろんな要素が溜まっているんだと思うな。まぁ、スポーツでいうところの、運動神経の差みたいなものは確かにあるかもしれない。でも、自分を発想しやすい状態にして、思考の焦点を定めれば、だれだってミラクルなアイデアを生み出せると信じているよ。

というわけで、焦点のほうからいってみようかな。アイデアを発想するというのは、「的を射る」行為に似ていると、オレは捉えている。漠然と頭の中になにかを浮かべようとしても、なかなか捉えどころがないよね。そこで、まずは「思考の焦点を定める」ことに挑戦してみる。「ゴールを明確にする」といってもいいかな。

で、その焦点、ゴールをどんな風にイメージするかというと、

映像化する

のがイチバンだね。頭の中に絵を思い浮かべるわけ。この対極にあるのが「言語化」。言葉で発想しようとするやり方ね。断言するけど、言葉でやろうとすればするほど、頭の中が「考える」でいっぱいになっちゃう。もう何度となく書いたけど、「考える」をやっちゃうと、直感が働かなくなる。つまり、前回書いた「検索&編集機能」が滞ってしまうわけね。

よく、左脳と右脳の話をするでしょ。残念ながら、人間は意識的にどちらかの脳を使うなんて器用なことはできない。自分で、「あ、いま左脳を使ってる」なんて自覚できたら気持ち悪いものね。仕方がないから、無理矢理にでも右脳が動き出すような、なんらかのだましテクニックを使うしかない。そこで、オレがいつもやるのが「映像化」なんだね。

さて、じゃあ頭の中にどんな絵を描けばいいのか。この答えは「そもそも企画とはなに?」を突き詰めると出てくるんだね。あまり現実的ではないかもしれないけど、「こういう企画ならだれが見てもOK」という理想の企画を想像してみようか。たぶんね、

1)だれも見たことがない。
2)優れているポイントが一目でわかる。
3)いい匂いがする(鼻で嗅ぐ匂いじゃなくてね)。
4)エッジが立っている。
5)多くの賛同者を巻き込める。
6)企画を実現するまでのプロセスが楽しそう。
7)形になったあと、勝手に口コミで広がっていきそう。

こんな要素が多ければおおいほどいいよね。7つの項目を一言でいうならば、「際だっている」かな。ね、「企画とは際だっていること」。これがオレの答えかな。すなわち、

頭の中で際だっている絵を創造してみる

ってこと。これこそが、いいアイデアを発想するための最大の秘訣だと思うね。たとえば、新しい「テニスラケット」が課題だとしよう。まずは、ノーマルなどこにでもあるテニスラケットを頭に思い浮かべるよね。もちろん、これだけじゃあ、先に書いた7項目のうち、1つも当てはまっていない。さぁ、「こいつを際だたせるにはどうすればいいか」。ここを思考の焦点にする。

ね、言葉を使ってはダメだよ。いま、オレの頭にはヘビメタバンドのKISSが持っているような、ギラギラなエレキギターのデザインが浮かんでいる。打面が斧の形だったりね。星形もいいかな。色はもちろん、黒と銀。メタリックなデザインがいいね。そうそう、球がガットに当たったとき、「ギュイーン」とかデストーションのかかった音がするってのもアリだな。

なんて書いてると、「くだらない」なんて思う人も少なくないでしょうね。たしかに、実用的じゃないし、ニーズもなさそうだよね。でもね、これ、真面目にやっていくと、けっこういい企画に結びついたりするんですよ。たとえばね、このヘビメタのイメージはCMに使えるかもしれない。

世界的に有名なテニスプレイヤー(すみません、詳しくないので名前が出ない)が強烈なサーブを打つ。猛スピードでやって来る球。そこに突然、KISSのジーン・シモンズが現れてギンギラのギターでそいつを打ち返す。ボールは炎に包まれて、有名プレイヤーをノックアウト。同時に、ギターがモーフィングで新製品のラケットに変わっていく。製品名は「ROCK JET!」とかね。もしかしたら、形はともかく、製品の基本コンセプトにできるかもしれない。これなら、くだらなくないかもよ。

あるいは、ロックとテニスを融合したWiiのゲームなんてのもアリ。ロックスターがキャラクターでね。ジェフ・ベック対ジミー・ペイジなんてね。ギターを選んでラケットの代わりにする。ラリーが続くと、各自の得意なフレーズができあがってきて、かっこいいメロディーが奏でられるとボーナスポイント! これ、オレもやりたいかも。ダメかな? ラケットの企画がゲームに変わっていく。こういうのも世の中にはたくさんあるよね。

これ、文章に書いているけど、実際には全部、オレの頭の中で映像として出てきているのね。「テニス」という一見、紳士的なスポーツのエッジを立たせるために、ロック、ヘビメタという正反対のイメージを組み合わせてみる。やっぱり、映像としてじゃないと思い浮かばないよね。

もっとも重要なのは、この映像化をとことん楽しんでやることだね。これも「際だたせる」ためのポイントかな。イメージの焦点を「とにかく際だったもの」に置くと、どんどん、ぶっ飛んだアイデアが出てくる。ちょっとでも出てきたら、それを信じて、とにかくどんどん具体化していく。途中で、「どうせ、ヘビメタ仕様のラケットなんて商品化できないでしょ」なんて大人ぶっちゃダメ。

子供のころにヒーローものの怪獣とかを勝手に想像していた、あの感じね。もう、イメージなのか現実なのかわからないくらい、夢中で映像化しちゃうわけ。もちろん、できあがったものがそのまま商品になるかどうかはわからない。だけど、必ず、そのイメージの中に手がかりやヒントが隠されているはずだよ。

おそらくね、映像化していく課程で、映像以外のいろんなことが浮かんでくると思う。先の「ROCK JET」みたいな製品名とか、音のイメージとか、うまくいけば、キャッチフレーズなんてのも出てくるかもしれない。キャッチフレーズ自体は言葉なんだけど、映像から生まれたフレーズだからちょっと違う。生きているというか、必然性みたいなものがあるよね。

そういうのが浮かんだら、もう、片っ端からメモしていくのね。映像もそのままスケッチしたほうがいい。ただし、書くことに時間をかけてはダメね。もう、ヘタでもなんでもいいから、どんどん書き殴って、素早く映像化に戻る。これが重要ね。スピードが大事よ。とにかく、スピード感ね。書き終わったら、一度、目をつぶって深呼吸して、また映像の世界に還っていく。浮かんだらすぐにメモ。メモったらすかさず映像化。この繰り返しだね。

はい、そうやって最終形というか、「こんな感じ!」みたいな際だったイメージが完成したとしましょう。ここからまた一仕事あるのね。「清書」かな。ヘビメタラケットだとしたら、そのままじゃだれも使えないじゃない。こいつを、現実の世界に引き下ろしてみて、「引き算」をするのね。アートの世界だったらそのままでもいいんだけど、ビジネスの世界だとやっぱり、ある程度の引き下ろしが必要になったりする。

星形や斧形は使いづらそうだから、やや楕円形に近づけるか? いや、打面は楕円形なんだけど、ラケットの縁をちょっとギザギザにしてみるか? 音はどうする? さすがにうるさいか? こんな風に、現実との折り合いを付けてみる。もちろん、これも言語ではなく、映像としてやるのね。でもって、ここが重要なんだけど、この清書の課程でもっとも重要なのは、

どんなに折り合いを付けても、最初のインスピレーションから絶対に譲らない部分を決めておく

ってことね。「絶対に譲らない部分」というのは、「際だちを決めている要素」なのね。ヘビーメタルというキーワードかもしれないし、メタリックなイメージかもしれない。どんなに周りの評価が悪くても、予算が足りなくても、技術的に製造が難しくても、ここを譲ったら企画じゃなくなる。そう信じて貫き通す。もし、どうしてもそれができないようなら、企画自体をボツにしてもいいくらいの覚悟が必要だね。

そうそう、会社で企画を発案する場合、複数のメンバーでやるのが普通だよね。もし、全員がこの映像化のプロセスを楽しんでやれたら、そうはもうミラクルなアイデアが続出すること間違いなしだと思う。でも、実際には難しい。先にも書いたけど、たいていは「くだらない」で終わる。なぜだと思います? これって日本人の特性でもあるんだけど、答えはね、

みんな結論を急ぎたがる

からなんだね。1秒でも早く形にしたいと思っちゃう。よくいるでしょ、会議でちょっと議論が紛糾すると、「わかったから、そろそろ決めようよ」ってわって入るヤツ。せっかちというよりも、恐がりなんだと思うな。形が定まらないプロセスが我慢できないのね。ものすごく不安だからさ。そういう人に「映像化」なんて絶対ムリだよね。言語化しかない。データで裏付けられたかのような必然を探したがる。安心がほしいんだね。

まぁ、そういうやり方でもそれなりの形にはできるだろうけど、結論を急ぐと「際だち」が弱くなるんだよね。理想は、あるメンバーが映像化したイメージをみんなに発表する。それを受けて、各自でさらにイメージを膨らませていく。おそらく、そのプロセスたるや、どこに着地するかもわからない、空想大会みたいに見えるかも知れない。それでも、必ず、奇跡が起こると信じて楽しみながら続ける

ある程度、イメージが出尽くしたら、「清書」の課程に入る前に、「このイメージの中で、絶対に守り通さないといけないのはどの部分か」を共有しておく。で、その部分は絶対になくさないように全員が努力する。あとは、いい感じに引き下ろせばいいだけ。これが、理想の企画会議の姿だとオレは思うね。我らがJOYWOW? もちろん、常に、100パーセントこのやり方でアイデア出ししてますよ。

うーん、やっぱり頭で映像化している課程を言葉で説明するのは簡単じゃないね。いいたいことの半分くらいしか書けなかった気がする。うん、「もっと詳しく理解したい!」という方は、ぜひ、8月29日の男塾に来てください。と、ややわざとらしい宣伝も決まったところで、今日はおしまい。明日はプレゼンの話かな?

さて、本日、前からお伝えしていた『JOYWOW あり方の教科書』を刷る印刷所を決めてきた。けーちゃんと2人で墨田区まで行ってね。印刷会社の担当の方がとても親切で、感じがよく、見積もりも素晴らしく、仕様の希望も完全に受けてくれた。やっぱり、流れがいいときというのは、すべてがバシッと決まるもんだね。先日、デザイナーののりちゃんがJOYWOWに加わったことで、表紙のデザインも抜群にクールになったし、やっぱり、この本には大きな力が働いていると思うよ。おそらく、発売開始は9月初旬から中旬くらいになるでしょう。いま、この本の特設ウェブサイトや、SNS、初回100名様限定のスペシャルプレゼントなんかも企画している。この課程がまた楽しくってね。もう、映像が出まくりだよ、オレ。(おわり)

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