小さいつづらを持って帰ろう
「ZONO塾長、すっきりしました」という由歌利さんからのコメントを見て安心したよ。よかった。あと、しんさん。「と言うことで、男塾参加申し込みします」ときたもんだ! うれしいねぇ。もともと、このブログは男塾をもっと世に広めたいという思いからスタートしたのね。だから、しんさんのような方が1人でも増えてくれると、やりがいがあるというか、本当に始めてよかったと思います。ありがとう!
で、さらに、しんさんのコメント。
「よく一般的な(形式的な)プレゼンうまい人、先生業の方はこうあるべきだ的なスタイルを(ポイントはこれとこれさえ出来ればOK的な「受験勉強の試験に出るとこ形式」)聴講者や自分自身も求めているのかなと思いがちでしたが、あまり得意ではありませんでした。なんか恥ずかしいと言うか、キャラでないような気がして」
これね、ちょっと響いたよ、オレ。そうそう、「これさえやっておけば大丈夫」的な教本とかセミナーとかたくさんあるよね。オレは前から、そういうのをめちゃくちゃ胡散臭いと思っていた。いい機会なので、今日はその話をしようかな。
まずね、自分の根っこにこの言葉をインストールするといい。
「Easy come, Easy go」
意味は「簡単に手に入るものはすぐに消えていく」ってとこかな。日本語のことわざを当てはめる場合は、「悪銭身につかず」になることが多いよね。前に、このブログでオレ自身の名言とかいいながら、「遠回りこそ近道なり」という言葉を紹介したよね。これは、「Easy come, Easy go」の真逆をいってるわけだけど、伝えたいことはまったく同じなんだな。
それから、日本のおとぎ話に『舌切りすずめ』っていうのがある。すずめを助けたおじいさんが、お礼にと大きいつづらと小さいつづらを選ぶように、すずめにいわれるのね。で、いいおじいさんは小さいつづらを選ぶ。家に着いて開けてみたら金銀財宝の山だった。で、それを真似た意地悪じいさんが大きいつづらを選んで、開けてみると妖怪やらゴミやらが出てくるって話。
一見、「Easy come, Easy go」と『舌切りすずめ』には共通点なんてないように思えるけど、オレは前からものすごく近いと感じていたのね。つきつめていくとね、どちらも、ベースに流れる哲学は、
「損して得取る」
なんだよね。「遠回り」だってそう。近道を行くよりも遠回りをするほうが「損」でしょ。Easy comeの反対は「困難な道のり」じゃない? つまり、楽な道のりより「損」するわけさ。で、遠回りも、困難な道のりも、小さなつづらも、近視眼的に見ると損なのだけど、もっと長い目で見ると実はものすごく「得な選択」なんじゃないか。これまで挙げたすべてはここに通じるわけね。
じゃあ、なぜ「Easy」じゃないことが最終的に「得」につながるのか。ここに人生のものすごくふかーいテーマが隠されている。それはなにかというと、
「人は困難や問題にぶち当たればあたるほど、大きく成長する」
っていう真理なんだね。オレはよく、人生を「スーパーマリオ」に例える。任天堂が生んだ永遠の名作ゲームだよね、マリオは。あのゲームをやる人は、例外なくまずは1面からスタートする。まぁ、最初から難しくしすぎると、やる側はついて行けないので、1面はちょっと障害物が出てくる程度で軽くクリアできるようになっている。2面もそこそこ難しくなった程度。で、3面あたりから一度や二度じゃクリアできなくなってきて、4面、5面と行くに従って難度はどんどん高くなる。
じゃあ、5面までクリアした人が、もし3面に挑戦したらどうか? もう楽勝すぎて笑っちゃうよね。でもよ、最初に3面やったときにはたしかに苦労したんだよね。なのに、5面クリアのあとでは、屁のカッパになっているのはなぜ? つーか、聞くまでもねぇか。単純に「腕が上がった」からだよね。そう、これがまさに人生における成長の過程そのものなんですよ。
新入社員A君がいます。彼は人と面と向かってしゃべるのが苦手でした。なのに、運悪く営業部に配属が決まり、入社3か月目には外回りの営業に出されます。もちろん、厳しいノルマ付きで。最初の営業はメタボロでした。どうしても、言葉が出てきません。そこで、「これじゃダメだ」と一念奮起、友人やら飲み屋で会った見知らぬ人やらと無理矢理しゃべりまくって、とりあえずは、「話すこと」に抵抗を感じないとこまで自分を鍛え上げました。
「さぁ、これから売るぞ!」と意気込んだのもつかの間、今度は営業相手から自社の商品について細かく質問されると、満足に答えられないという致命的な問題が発覚します。そこで、A君、毎日、終電まで残業して商品カタログを隅からすみまで読みまくり、すべての内容を完璧に頭に叩き込みました。こうして、1年が過ぎ、ノルマも軽くクリアできるようになったA君。その年の新入社員Bさんから「わたし、人と話すのが苦手なんです」と相談を受けます。「ああ、それはね……」。そのアドバイスの見事なこと、Bさんは目からうろこ状態で営業として働く自信を付けてもらいました。
まぁ、こういうことですよ。本気でなにかに取り組むと、神様は応援してくれる代わりに「問題や障害」をプレゼントしてくれる。これは「魔法の課題」のようなもので、解決しなくてもいいし、してもいい。もし、解決せずにそのままほおっておくと、また数日後に同じ問題が降ってくる。でも、解決してしまうと、その手の問題や障害はその人にとって、もう手に負えないものじゃなくなる。まるで、スーパーマリオの5面をクリアした人が3面をやるのと同じようにね。
そこで、我々には常に2つの道が用意されているってことがわかるよね。「楽な道」と「キツイ道」の2つね。仕事でもそうでしょ。必ず、2つの選択肢が目の前に現れるよね。新商品の開発をどうするか。これまでのものにちょっと手を加えて新しく見せるか、それとも、もう一度、スクラッチでゼロから作り直して最高のものを創るか。結論をいえば、「どちらを選んでもいい」んです。やる人の自由。
ただし、どちらを選ぶかでその人の人生は大きく変わるよ。男塾の教えはいうまでもないよね。
「楽な道とキツイ道の2つが見えているときは、迷わず、キツイ方へ行け!」
これに尽きる。そっちのほうが楽しいし、成長できるし、技術や経験もたくさん身につく。ある意味、マゾ道だよね。「もっといじめてー」っていってるようなもんだからね。そう。漢(おとこ)はいじめられて成長するんですよ。
さて、じゃあ、世の中どうなっているかっていうと、ここで書いたようなことはまず起こらない。しゃあないよね。「楽な方が売れる」「楽な方がほしい」ってみんな信じているからね。テレビの通販とかでよく紹介される「アブストラクトなんちゃら」みたいなシリーズがあるでしょ。太いベルトみたいな機械をおなかに巻いて、ブーンってスイッチ入れておくと自然に痩せるってやつ。FUCK!!!!!!!! だよね。
そもそもさ、喰うから太ったんだでしょ。喰った分、動かなきゃ痩せるわけないじゃん。一昔前は、もう少し運動系のグッズが流行っていたんだけどね。それすら、もう「楽じゃない」ってことなわけ。で、よりによって「努力ゼロ、我慢ゼロ」「テレビを観ながら寝そべっていてもダイエットできる」なんてアホな商品が登場しちゃう。
出版業界もそうだよ。物事の真理やら哲学やら、ものの考え方や人生のとらえ方なんてだれも読まないんだってさ、彼らにいわせれば。じゃあ、どういうのが受けるか? 「即効性があって実利的で、すぐに人生や仕事や恋愛に役立つハウツー」なのだそうだ。書店で平積みになっているビジネス書の帯を見てみてよ。「すぐに儲かる!」「一週間でできる社員になれる!」「脳がメキメキ動き出す」「仕事の効率100倍アップ!」「夢を実現する5つのステップ」……。
そんなもの本当にあるのか? あるわけねぇじゃん。ウソだよ、全部。オレもね、その手の本はたいがい読んだけど、まぁ、帯に書いてあるようなことは起こりません。そりゃあ、そうでしょ。提供しようとしていることが、ことごとく「Easy come」「近道」「楽して」なんだもの。もうさぁ、そういうの買うのやめませんか? なんか、ストップ地球温暖化も大事だけど、読者をバカにして作られた「即効ハウツー」を買わないってことも同じくらい大切なことだと、オレは思ってしまうよ。
こういうことがまかり通る世の中というのはね、いたるところに「落とし穴」がある怖い社会なんだよ。「ローリスク・ハイリターンで儲かります」みたいな詐欺まがいの投資商品に引っかかる人があとをたたないよね。素人が株に手を出してスッカラカンになっちゃうとかね。「楽して儲ける」「うまい話」、そんなものが全部、嘘で幻想だってことをちゃんと認識できる大人にならなくちゃ。ハウツー本やセミナーもまったく同じなんだって。
ね、しんさんが書いてくれた「ポイントはこれとこれさえ出来ればOK的な受験勉強の試験に出るとこ形式」。これでプレゼンテーションのハウツーやるわけでしょ。あるわけないじゃない、そんなポイント。前にも書いたけど、プレゼンテーションっていうのは、自分の強い思いを実現するために賛同者を巻き込むのが目的なわけさ。つまり、もっとも重要なのはテクニックじゃなくて、「真心」なんじゃない? 形式やスタイルなんてどうでもいいのよ。聞き手の心に響くか響かないか、それしかない。
けれども、そういう「受験勉強の試験に出るとこ形式」でセミナーやっている人たちにとっては、「なんとなくプレゼンテーションとして様になっている」状態ができればOKなんでしょ。ゴールというかできあがりのイメージに対する志が低すぎるよね。オレにとってのプレゼンのゴールは「賛同者をたくさん巻き込んだ」でしかない。それが実現しなければ、どれだけ流ちょうにしゃべれて、こぎれいなパワーポイントが作れたって、なんの価値もないわけ。
じゃあ、どうやってそれを実現するか。最初の「志」からやるんですよ。面倒くさいよ。一朝一夕にはできないよ。時間かかるよね。覚えなきゃいけないこと、経験しなきゃいけないことが山ほどある。あたりまえじゃん。「人の心に響くプレゼン」を目指してるんだからさ。真面目にやろうとしたら1年くらい平気でかかるさ。けれども、そうやって苦労して身につけた本物の技は、一生の財産になるんですよ。なんていうとね、こういう意地悪な反論が返ってくるよね。
「それじゃ、間に合わないんです。プレゼンは来週なんです。だったらわたしは来週までにそれなりのプレゼンができる“受験勉強の試験に出るとこ形式”を選びます!」
おお、上等だよ。それでやれって。で、形式だけは整ってるプレゼンやればいい。で、人の揚げ足取ろうと手ぐすね引いているお偉方からさんざん突っ込まれるといいさ。そういう、形式だけはちゃんとしてるけど、心が入ってないプレゼンは格好の餌食なんだからね。「じゃあ、わたしはどうすればいいですか?」って悲鳴が聞こえてくるよね。これがオレからの最高のアドバイスだぜ!
「いま自分のスキルでできる範囲のお粗末なプレゼンをやって大失敗をしてこい!」
これしかねぇって。前にも書いたけどね、「薄めちゃダメ」なんだよ。即効ハウツー読んで形だけ整えれば、怒られたり注意されたりする度合いは少なくなるかもしれない。でもね、それって結局は本当の自分の実力に対する評価を「薄めてる」んだぜ。ダメなら「全然、ダメ」っていわれた方がいいの。それが、あなたにとっての問題や障害となって成長を助けてくれる。キツイけどね、ものすごくいい経験なんだよ、「恥をかく」というのはね。できねぇんだったら、格好つけないで恥じかいてこいって。それで悔しかったら、涙が出るほど悔しがればいい。素晴らしい経験だよ。
まずはね、オレたちも含めて「売る側」の人間が「遠回り」で「困難な道」を選ばなくちゃダメだね。「柳の下のドジョウ」ばかり作って楽して儲けようなんて考えずに、だれもなしえなかった「読者に苦労させる本」ができないものかと智恵を絞らなくちゃ。そうそう、いま創っている『JOYWOW教科書』はまさに、そういうことへのチャレンジだと思ってる。だから、出版社をとおさずに、ウェブで直販しようとしてるんだよ。
で、このブログをいつも読んでくださる素敵なみなさん。いつもじゃなくていい。ここぞという勝負所では、イージーじゃない方を選びましょうね。遠回りの方を選びましょうね。小さいつづらを持って帰りましょうね。きっといいことありますから。
そうそう、もうすぐリアル男塾だね。第三章『人生を動かす決断のとき〜決める力を磨く』の最終回です。今回は、しんさんを始め、このブログのファンの方がたくさん申し込んでくれました。今日の時点で残席はあと2つかな? もし、2席を超えてしまったら、別途「追加塾」とか開いてもいいので、「もう空いてないかな?」とか心配せずに、どんどん申し込んでください。おそらく、近日中に第四章をやると思うけど、三章はこれが最後だからね。でね、実は男塾には分厚いテキストがあってね、オレの手作りでキレイに製本したやつなんだけどね。これが、とても好評なんです。参加いただいたみなさんに差し上げてます。今回も、心をこめて創るよ、オレ。(おわり)


ZONOさん
はじめまして!いつもこっそり拝見させていただいていました。
今日は勇気を出して質問します。
ずーと気になっていたことがありました。
漢(おとこ)
男塾には女性もたくさん参加されているとのこと!
そこで
ZONOさんが考える「男と女の違い」って何ですか?
実は私、仕事を始めてから
「もう少し女らしくすれば?」
や
「女なんだから・・・」
と言われ続け、心の中で
「あんたが求める女にはなる気はないよ!」と思っていた私・・・(苦笑)。
本物の男にとって、「本物の女」ってどんな感じなのでしょう?
よろしくお願いいたします!
ZONOさん
こちらこそありがとうございます。(このブログの開設に感謝。)
このブログを読んで思うのが、「志」の違い、思いが行動に、人生に表れるのだなと。
より良い生活、人生にしたいものです。
ZONOさん
こんにちは。またもタイミングよくメッセージをいただきました!
このお題を提供してくださったしんさんにも感謝です。
来週水曜日は、15分で1年の活動を全部報告するというプレゼンがあります。
プレゼンのフォーマットから報告内容、話し方まで、スタイルはすべて規定されています。ある意味How toの塊で、こんなの機械が話したって一緒じゃないかと思う程です。かつ、上司との事前の報告準備のミーティング(金曜日の夜。。。)で、私の話したいことは、ことごとく塗り替えられてしまい、反論する元気もなくし、「言われるようにやっとくか。。これからもこの仕事続けるってきまってないし。。。」と、もやもやだらけで、でもEasyに考えながら帰宅しました。
ですが、このBlogを見てプレゼン作り直してます。 15分、決められた環境の中でどこまで想いをこめられるか、話したいことを話せるように持っていくにはどうすればよいか。。がんばり中です。
ありがとうございました。