メルマガ24号で掲載された内容です。
—————————————————————-
ZONOコラム
—————————————————————-
◆壊れたモノと創られるモノ
昨年末、米国に端を発した金融危機によって、日本の大企業も大きな打
撃を受けた。その結果、非正規雇用の方々が大量に契約を打ち切られる
というひどい事態が起こり、大きな社会問題に発展している。
一方、ほぼ同時期に新聞の一面には「大企業の内部留保、過去最大」と
いうニュースが掲載された。財務省の法人企業統計調査によれば、資本
金10億円以上の大企業の内部留保は、昨年3月末から9月末までの半年間
でなんと、29兆円も増えているというのだ。
カネはあるのに人は切る。なんでこんなことが起きるのか。これこそ、
「株主至上主義」がもたらしたひどい結果なのだとオレは思う。利益が
減れば株価が下がる。株価が下がれば株主が怒る。だから、内部留保と
いう蓄えがあるのにもかかわらず、人を切ってコストを下げる。
上場さえしていなければ、株主の顔色など見る必要もなく、「この冬の
時期をみんなで乗り切ろう!」と、社員一丸となって知恵を出し、アイ
デアを絞り出し、厳しい局面にチャレンジするという選択ができる。そ
うして難局を乗り切ったあとには、経験とスキルというなにものにも代
え難い財産が企業に蓄積されるはずなのに。
もうそろそろ原点にもどらなくちゃダメだ。「金融資本主義」は昨年末
までに崩壊した。企業にとってもっとも大切なものは、株主ではなく
「お客様」。株価を上げて企業価値を上げるなんていう、米国が考え出
した「インチキ」に振り回されるのは終わりにしたい。「いいもの」
「いいサービス」を売って、お客様に喜んでもらって、ちゃんと利益を
上げようじゃないか。
壊れるモノがあるとき、必ず反対側に「創られるモノ」が現れる。「さ
らば、アメリカ」と言いながら、未来の方を振り向いてみると、今回も
神様はわれわれに希望の光を用意してくれているのがわかる。たとえば、
「エコロジー」「高齢者向けサービス」「新しい農業」。
金融危機の最大の被害者である自動車産業も、間違いなくエコカーに向
かっていくだろうし、石油に変わる燃料電池や水素燃料などの開発も進
むだろう。ティーンエイジャーばかりを相手にしていた日本のエンター
テインメント業界も「大人の文化」を発信するようになるだろう。もち
ろん、老人介護などのサービスも充実する。安全でものすごくおいしい
食べ物を創る「本気の農業」も日本にぴったりの新ビジネスだと思う。
こうしてみると、次世代の産業にはある共通するキーワードが含まれて
いるような気がする。それは、「ごまかしなし」である。これらのビジ
ネスが取り組む相手は、地球の未来、人生の充実、命に関わる食べ物で
ある。まったくもって小手先のごまかしは通用しない。心を入れ替えて、
真面目に本気で取り組まない限り成功はあり得ないものばかり。神様は
きっと、「まっとうな商売に戻りなさい」といっているに違いない。
そこで重要な役割を果たすのが、前回のコラム、第17号「非カリスマと
デジタルネイティブ」http://tinyurl.com/9s4ggv
でも書いた
「進化した若者たち」
である。繊細な感受性や、人や物事をフラットに見られる能力を最大限
に発揮して、これから創られるモノを前に、前に推し進めてほしい。わ
れわれの世代がすべきことは、利益効率至上主義や自己保身という悪し
き慣習を捨て、決して彼らの足を引っ張らず、彼らの才能に嫉妬せず、
活躍のステージを整えることではないだろうか。