生活者・顧客一人ひとりの顔が違うように、個別に各人へ焦点を合わせ、
メッセージを注文服のようにアレンジして発信しようとするものが
ワン・トゥー・ワン・マーケティングである。
別表記「1to1」とすることからも狙いは明らかだ。
市場シェアではなく、顧客内シェアを目指す。
(中略)
ワン・トゥー・ワン・マーケティングについて私は
「気持ちはわかるが、しかし、やりすぎてもよくない」というスタンスだ。
仮に現在のシステム・テクノロジーの能力が向上して、
もっともっと”かゆいところに手が届く”やりかたで
顧客嗜好に合ったメッセージを発信することができたとしても、
今度はストーカーとどこが違うんだ、ということになる。
(中略)
そこで、ワン・トゥー・ワン・マーケティングは
次の三つの方向に進むのが正しいのではないかと考える。
第一に、ざっくりと顧客嗜好を聞いておいて、
同じカテゴリーの商品、例えばアイドル系写真集を買った人に、同じくアイドル系写真集を
お勧めするなどの提案程度にとどめる。
そして、提案した後、「こんな商品を提案してよろしかったですか?」
「お買い物にはご満足いただけましたか?」と必ずフィードバックする。
第二に、顧客が商品を自分好みに育てられるようにする。
(中略)
第三に、ブランド・アンブレラとしての企業イメージを作る。
(中略)
「1to1」のイメージから、人とひとが向き合うイメージがあるが、
企業ブランドも擬似人格であるとすれば、
このようなありかたが、現実的なワン・トゥー・ワン・マーケティングとなる。
出典:「マーケティングに何ができるか とことん語ろう!」阪本啓一著 日本実業出版社