企業においも、自分の考えを述べるよりは、「誰かのお墨付き」ということを重視している。
「製造の了解はとってあるのか」とか、「よそ(他社)さんは、どうしているのかね」
というやつである。
また、ビジネススクールにおいても、どうしてもアメリカの経営理論を崇め奉り、
日本のビジネス現場にむりやり当てはめようとする傾向があることは否めない。
当然MBAは無条件に価値のあるものとされている。
これがアメリカ偏重のものの見方・考え方を増幅してきただけでなく、
自分自身で考え抜くことを阻害してきたのではないか。
私は、このスタンスを「セッズ症候群」と呼んでいる。
「セッズ」というのは英語の「says」だ。
誰それが言っている、というとき、
「○○says」あるいは、「○○said」と言う。
(中略)
あるいは、インターネットで検索して、自分の抱えている問いに対する答えが
どこかにあるのではないかと、安易に探してしまうような姿勢。
これもセッズ症候群だ。
答えがないのが現実のビジネスなのに。
日本語に翻訳すると「お墨付き症候群」が最適だろう。
(中略)
以上3者いずれも、いたずらにアメリカをはじめとする他者の動向にうろうろするのではなく、
何が現在自分に足りないか、手持ちの情報はなにか、その中で何ができるか、
巻き込む仲間は誰か、自分でとことん考える。行動する。
お手軽な解決を求めるのでなく、じっくり腰を据えて考え抜く。
スピードよりむしろスローなビジネス姿勢である。
「お墨付き症候群」など、どこにも見当たらない。
出典:「スロー・ビジネス宣言!」阪本啓一著 日経ビジネス人文庫